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 gdr_a02 2009/11/23 (Mon)

 私は新しい体と新しい生について、第二の人生ではなく人生の余暇と定めることにした。
 前世の記憶と思考を引きずっていた。新しいたましいが貰えなかったのだ。
 生まれたての体に一定の思考能力と判断基準が宿っていることが、常に大幅な利点であるかというとそんなことはないらしい。
 二度目の難題を前にして、一度目の経験が役にたたないとわかってしまえば、そこに喜びなどなく、困惑と倦怠感のみが体中を支配している。
「水棲のこの身体にとって、炎に焼かれて死ぬことは正しい死に方なのか、どうなのか……」
 呟きが気泡となり海面へ上っていく。海流がうずを巻いている。
「つまらないことを考えている」
 死に方など、たましいの磨耗に怯え、余りだす時間の莫大さに倦んでから考えればいい。
 確かに、身体が高熱で焼かれていくさまは胸をうつものだった。あれは失敗ではなかった。
 こうして記憶を保持して転生してしまった以上、成功でもないのだろうが、幸運程度に考えておけばいいのだ。
「炎が頭から離れない、もっと生産的なことを考え、いや、生まれたばかりで生産的とか、もっと気楽に、でも魚の腹におさまるのは」
 それは嫌だ。
「もっと強い、もっと激しい炎で……それは自然なさまか?
 燃え上がる、そうだ、雷に撃たれれば」
 かみなりの命中は70、そこそこ外れる。
「そういう世界なんだ。納得しろ」
 上司に叱責されたサラリーマンのように、私は落ち着いた。
 ああ、この表現は悪くない。前世を思い出す。
 餌を得るために動き出す。体のまわりで海流がうずを巻いている。

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