gdr_a03 2009/11/25 (Wed)

 落下する川の流れが、滝つぼの中央にある見事な岩肌に叩き壊されている。
 平時、森中にこだまするであろう水音は、徹底的に輪郭をぼかされ、定かでない。
 シードラが呼び込んだ豪雨が、滝そのものを叩いている。
 周囲に蔓延する轟音、水の音が、
 川はほぼ氾濫寸前で、川辺にあった背の低い草たちはすでに飲み込まれている。その曖昧な境で、少女が叫んでいた。青い唇。
「みつけた! みつけたよ! ……あなた……つがいはいる!?」
 大人に引けをとらぬ長身で、すっきりと伸びる手足の白さが際立つ。
 反対に幼い顔立ちと、どこか不安定な骨格が、彼女の年齢をつぶさに物語っていた。
 前の感覚と照らし合わせてみれば、まだ中学生にもならぬ年齢なのではと、シードラには思われた。
「おねがい! 話をきいて! あなたに、あなたが!」
 シードラはこの雨の中で、のどの嗄れを恐れず張り上げる彼女に呼びかけられている何者かが、自分であることにようやく気づいた。
 そうして彼女の言葉を今一度反すうし、なんとも場違いな問いかけだと、含み笑いをした。
 ふと豪雨が途切れる。蓄えた流れをまとめて落とした滝が、爆音を響かせる。
 森から音が消える。
「つがいなど、そんなものはいない」
 たわむれに返事をしてやった。
 ポケモンが、呼びかける人間に一声鳴いただけだ。そこに人間をつたなく満たしてやる以上の意味はない。
 シードラを満たす何かが訪れることはなにも、
「よかった……! じゃあ、私のポケモンになって! ください!」
 シードラは身構える。理性が理解するのを躊躇ったため。
 無意識に逆立ったトゲを見て、少女は頓着せずに腰からボールを投げて一歩下がった。
「私のポケモン、今はイーブイだけど、この子がシャワーズになったら、あなたにもう一度会いにきます。
 そのとき、私たちと一緒に冒険しよう?」

---
タイトルの番号は私のためのわかりやすさでできています
話の順番ではないですすみませn

スポンサーサイト

| comment(0) |


<<gdr_b04 | TOP | gdr_a02>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://tenmet.blog52.fc2.com/tb.php/55-ef754512

| TOP |