gdr_d08 2009/11/28 (Sat)

「あのね? ……ええと、リリエちゃん?
 ここの名前のところは、リリエ、って書くだけでいいのよ。
 戦うポケモンは秘密にするの」
 ジムの受付嬢が困り顔で登録用紙を差し出した。
おなまえ:りりえ いーぶい
もっているバッジのかず: 0 こ
ポケモンのかず: 1 ひき

「あのときは凄くごねたんだよ。イーブイと一緒に戦うんだから名前にちゃんと書く! って言って。
 結局カスミさんのヒトデマンに手も足も出なかったんだけどね」
 ニビジムの前で三匹と一人が輪になって座っている。
 壮行式じみた場の雰囲気に呑まれたのか、意気込みが零れたのか。リリエが大げさな仕草で語る。
 所謂「はじめてのじむばとる」にキングドラとドククラゲは笑った。シャワーズは少し頬を赤らめていた。
「後でカスミさんが教えてくれたんだけど、その登録用紙は勝った時に保管されて、チャンピオンロードとか四天王戦とか、そういうののとき提出されるみたい。
 まあ、私もいずれ……とは思うけど。今は最初のおっきな目標めざして」
もっているバッジのかず: 7 こ
ポケモンのかず: 6 ひき
 この状態でハナダジムに挑むこと。本気のカスミに正面から打ち勝つこと。
 最初にリリエが語った目標だ。少なくともこの場の三匹は、是が非でもそれを叶えてやるつもりでいる。
「ならばまず、最初のジムバッジを手に入れなければならないな。
 私たちの名前は書いてくれるなよ? 岩タイプのジムに挑戦してピカチュウが出てきたらどうしようもない」
 キングドラが言葉に皮肉のニュアンスを乗せる。
 このポケモンの言葉がわかる少女は、そんな些細な声音も嗅ぎ分けるようだ。
「それは大丈夫!
 あのときから気持ちは変わってないし、私一人の名前を書くつもりもないけど。
 チーム名でもいいんだって。チャンピオンになるまで名前が変わらなきゃ。
 だからね、最初から、挑戦することにしたの」
 リリエは受付からもらって来た登録用紙を土の上に置いた。
 名前を残してすらすらと書き連ねる。バッジのかず、0こ。ポケモンのかず、3ひき。
 そしてバッグから、試験管大のインク壜を取り出して、ぶちまけた。
 耐え切れず、キングドラが笑い声をあげる。
 流れ出た真っ青なインクが、名前の欄をべたべたと埋め尽くしていた。
「これは、言い訳が聞かないな!」
「私の決意表明だよ。一緒に戦ってくれるみんなと、これから戦うトレーナー全員に」
 青、つまり水タイプ、水ポケモン。
 カントーで水タイプ使いといえば、ハナダジムジムリーダーのカスミ以外にない。
 現時点では、まだ。

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